DIYで塗装したバイクの塗膜が、数週間から数ヶ月で剥がれてきた。爪で引っかくと簡単にめくれる。洗車の水圧で塗装が浮いてしまう。
塗装の剥がれ(密着不良)は、ほぼ100%が下地処理の不備に起因します。塗料の品質やスプレーガンの技術ではなく、下地の段階で勝負は決まっているのです。
この記事では、塗装が剥がれる4つの原因と、密着不良を確実に防ぐための対策を解説します。
原因1:足付け不足
足付け(サンディング)とは、塗装面に微細な傷をつけて塗料が物理的に引っかかる状態を作ることです。
ツルツルの面には塗料が密着しません。つまり、旧塗装の表面をサンディングせずにそのまま新しい塗料を吹いた場合、塗膜は「載っているだけ」の状態であり、簡単に剥がれます。
対策は、800番の耐水ペーパーで全面を均一に研磨することです。光にかざして全面にスリガラス状の傷が入っていることを確認してください。光沢が残っている箇所は足付けが不十分です。
原因2:脱脂不足
塗装面に油分が残っていると、その部分だけ塗料が密着しません。素手でパーツに触れた際の指の脂が最も多い原因です。
対策は、シリコンオフで2回拭き取りを行い、拭き取り後はニトリル手袋を着用して素手で触れないことです。
原因3:プラサフの省略
「下塗りを省いて工程を短縮したい」という気持ちからプラサフを省略するケースがありますが、これは密着不良の直接的な原因になります。
プラサフ(プライマーサーフェーサー)は、素地と上塗り塗料の間の「接着剤」の役割を果たします。プラサフなしでカラーコートを塗ると、塗料と素地の間の密着力が大幅に低下します。
特に樹脂パーツ(ABS、PP等)の場合は、プラサフに加えて素材に応じたプライマー(PPプライマー等)を先に塗布する必要があります。

原因4:塗料の相性問題
異なる種類の塗料を重ね塗りすると、化学反応で塗膜にチヂミ(シワ状の変形)や剥がれが発生することがあります。
ラッカー塗料の上にウレタン塗料を重ねる、アクリル塗料の上にラッカーシンナーで希釈した塗料を重ねる、といった組み合わせでトラブルが発生します。
対策は、全工程で同じ系統の塗料を使うことです。下塗りから上塗り、クリアまで、同一メーカーの同一シリーズで統一するのが最も安全です。旧塗装の上に塗る場合は、旧塗装を完全に剥離して素地から始めるのが確実です。
密着テストの方法
塗装後の密着性を確認するには「クロスカットテスト」が有効です。
クリアコートが完全硬化した後、カッターで塗膜に1mm間隔の格子状の切り込みを入れ(目立たない箇所で行う)、その上にセロハンテープを貼って一気に剥がします。格子の塗膜がテープと一緒に剥がれなければ、密着は良好です。

まとめ
塗装の剥がれは「下地処理」の段階で防げます。足付け、脱脂、プラサフ塗布、塗料の統一。この4つを確実に行えば、密着不良による剥がれはほぼ発生しません。
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