ウレタンクリアを吹いた直後は透明だったのに、乾燥するにつれてクリア層が白く曇ってきた。せっかくのカラーコートが霞んで見える。
この現象は「ブラッシング」(白化)と呼ばれ、塗装中に塗膜内部に水分が閉じ込められることで発生します。梅雨時期や湿度の高い日に塗装を行った場合に多発するトラブルです。
この記事では、ブラッシングの発生メカニズム、修正方法、そして予防策を解説します。
ブラッシングが発生するメカニズム
塗料に含まれる溶剤が蒸発する際、気化熱で塗膜表面の温度が下がります。この温度低下により、空気中の水蒸気が塗膜の表面で結露し、微細な水滴として塗膜内部に閉じ込められます。
閉じ込められた水滴が光を乱反射することで、クリア層が白く曇って見えるのです。
ブラッシングが発生しやすい条件は、湿度60%以上の環境、気温が低い日(溶剤の蒸発速度が遅い)、風通しの悪い密閉空間での塗装です。
ブラッシングの修正方法
軽度のブラッシング(部分的にうっすら白い)
クリアコートが完全硬化した後(48時間以上)、1500番→2000番の耐水ペーパーで白化部分を水研ぎし、コンパウンドで磨くことで改善できる場合があります。ごく表面的なブラッシングであればこの方法で除去可能です。
中程度から重度のブラッシング(明らかに白く濁っている)
研磨だけでは改善しない場合は、白化したクリア層を1000番の耐水ペーパーで研磨して除去し、湿度の低い日(湿度50%以下)にクリアコートを吹き直します。
吹き直しの際、塗料にリターダーシンナー(乾燥を遅らせる添加剤)を10%程度混ぜると、溶剤の蒸発速度が穏やかになり、ブラッシングの再発リスクを下げられます。ただし、リターダーの添加量が多すぎると乾燥が遅くなりすぎて垂れの原因になるため、塗料メーカーの推奨添加量を守ってください。

ブラッシングを予防する4つの対策
1つ目は、湿度60%以上の日は塗装しないことです。天気予報で湿度を確認し、可能であれば湿度50%以下の日を選んでください。
2つ目は、ガレージ内で除湿機を稼働させることです。湿度の高い季節でも、除湿機を使えば作業空間の湿度を下げることができます。
3つ目は、コンプレッサーの水分対策を徹底することです。コンプレッサーは圧縮空気を作る過程で水分が発生します。エアフィルター(水分離器)を設置し、作業前にタンクの水抜きを行ってください。コンプレッサーからの水分がスプレーガンを通じて塗膜に混入することもブラッシングの原因になります。
4つ目は、リターダーシンナーを適量添加することです。湿度がやや高めの環境で塗装する場合の予防策として有効です。

まとめ
ブラッシングは「湿度が高い環境で塗装した」ことが原因のほぼ100%を占めるトラブルです。軽度であれば研磨と磨きで修正でき、重度であればクリアの吹き直しで対処できます。
最善の策は「湿度の低い日に塗装する」という予防です。コンプレッサーの水分対策も併せて行えば、ブラッシングのリスクはほぼゼロにできます。
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