クリアコートの最後の一吹きで、塗料が垂れてしまった。透明なはずのクリア層がタンクの側面をたらりと流れ落ちた瞬間の絶望感は、DIY塗装を経験した人なら誰もが共感するはずです。
しかし、クリアの垂れは修正できます。慌ててウエスで拭いたり、乾く前に触ったりしなければ、きちんとしたリカバリーが可能です。
この記事では、クリア塗装が垂れてしまった場合の正しい修正手順と、そもそも垂れを発生させないための予防策を解説します。
なぜクリアコートは垂れやすいのか
クリアコートはカラーコートと異なり、色がついていないため塗布量の判断が難しいことが最大の原因です。
カラーコートであれば、色の乗り具合で「ここは十分に塗れた」「ここはまだ薄い」と目で判断できます。しかしクリアは透明なので、十分な量が乗っているかどうかを「表面の艶感」で判断するしかありません。
この判断を誤り、「もう少し艶を出したい」と追加で吹いた結果、塗料が溜まって垂れるというパターンが最も多いです。
また、タンクやカウルの垂直面(横面)は重力の影響で塗料が下方向に流れやすく、水平面(上面)よりも垂れのリスクが高くなります。
垂れた時の正しい対処:まず触らない
垂れてしまった場合、最初にやるべきことは「何もしない」ことです。
塗料が半乾きの状態で拭き取ろうとすると、周囲の正常な塗膜も一緒に荒らしてしまい、被害が拡大します。垂れた部分も含めて、クリアコートが完全に硬化するまで最低48時間はそのまま放置してください。
修正の手順
ステップ1:完全硬化を待つ(48時間以上)
ウレタンクリアの場合、気温20度で48時間が完全硬化の目安です。気温が低い場合はさらに長くなります。指で触って硬く、爪で押しても跡がつかない状態まで待ちます。
ステップ2:垂れた部分を研磨する
800番の耐水ペーパーで垂れた塊を削り落とします。力を入れすぎると下のカラーコートまで削ってしまうため、慎重に作業してください。垂れの山がなくなり、周囲の面と同じ高さになったら800番の研磨を終了します。
次に1000番→1500番→2000番と段階的に細かいペーパーで研磨し、傷を徐々に細かくしていきます。
ステップ3:クリアコートを再塗装する
研磨した部分を脱脂し、クリアコートを薄く2~3回重ね塗りします。今度は垂れないよう、1回の吹き付けは極めて薄くしてください。
ステップ4:全体をコンパウンドで磨く
再塗装部分が硬化したら(48時間後)、修正箇所と周囲の境界が目立たなくなるよう、全体をコンパウンド(細目→極細目→超微粒子)で磨き上げます。

垂れを防ぐための5つの予防策
1つ目は、1回の塗布量を抑えることです。クリアコートは3回に分けて重ね塗りし、1回目は「ミストコート」と呼ばれる極薄の層にとどめます。
2つ目は、垂直面では吹き付けの距離を少し離すことです。水平面より5cmほど遠く(25~30cm)から吹くと、塗料の付着量が減って垂れにくくなります。
3つ目は、スプレーガンの移動速度を一定に保つことです。手を止めたり遅くしたりすると、その部分に塗料が多く乗ります。
4つ目は、コンプレッサーの圧力を安定させることです。圧力が変動すると吐出量が変わり、意図しない厚塗りの原因になります。50L以上のタンク容量があるコンプレッサーであれば、クリアコート全工程を通して安定した圧力を維持できます。
5つ目は、塗装の合間に全体を確認することです。各回の乾燥時間(15~20分)の間に、パーツを回転させながら垂れが始まっていないかチェックしてください。

まとめ
クリアの垂れはDIY塗装で最もよくある失敗ですが、正しい手順で修正すれば痕跡を残さずリカバリーできます。完全硬化を待ち、研磨で垂れを除去し、クリアを再塗装し、コンパウンドで仕上げる。この4ステップで元通りです。
そして最も重要なのは、垂れを発生させないこと。「薄く、3回」の鉄則と、安定した圧力を供給するコンプレッサーが、垂れのない美しいクリアコートの基盤です。
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